症状

病状の進行を掴んでおこうと身体の状態を見つめてみると、良くなって行く事など一つもなく、せっかくの日常の踏ん張りをも気重にさせてしまう。けれども振りかえって記録を見れば、一年前の様子とは歴然とした違いがある。では半年前とでは? 進行の度合いは緩やかになっている。やはり時たまにでも症状を記録しておく必要はあるようだ。
今は立ち上がる時には掴まるものが必要だし、歩行器を使いながらでも歩き方は覚束なく、手すりを両手で掴まりオタオタと横歩きする姿はぎこちない。デイでの歩行介助者からは「体重の掛け方が重くなってきたね」と云われる。流しに寄りかかりながら料理が出来たものが、椅子に座って洗い物をする。背もたれのない椅子に座るのは辛い。
夢の中では軽々と動き回り、あらアタシ病気だったんだと気が付くと、夢はうたかたの如く消え去る。朝の起床時、昼寝の後の身動きの軽さは夢の落とし物かもしれない。疲れない内のひと時だけだけれど、比較的気楽に動ける時はほっとする。
先日、治療を受けているマッサージ師に言われた。「良く眠れていますか?」「ハイ」「水をしっかり飲みましょうね」目の不自由な彼は、相手の話し声から様子を知るのだろう。2回目に言われた時には、私の発声が相手にも分かる程に不明瞭になって来ている事を自覚した。9月の受診時には、主治医に「話し方は、はっきりしていて、全然問題はない」と云われたけれど、6〜8週間に1度の会話では、変化があまり分からないのだろう。
手はモノをしっかりと掴み、身体を支える。字を書くのが下手になったのは、病気の所為ではないだろう。まあまあ普通に手が使える事が唯一の救いなのだ。今の私は手に生かされている。この力は失いたくはない。