冬麗

温かい穏やかな日が続きました。冬のこんな空模様を俳句では『ふゆうらら』という表現があるらしい。洒落たこの言い回しに、頭の中でイメージが駆け巡る。けれど十七文字にまとめる事は難しい。
月の始め、一本の桜の樹に出会いました。仰ぎ見た大木の細い枝先には、もう次の時を待つ気配が見える。下の方にまだ残りの葉をつけながらも、葉を落とした梢にはポツポツポツと小さな膨らみをつけている。枝の向こうには白い三日月。車の窓から目を凝らし、季節を探すってとても楽しい。
堅い膨らみがほころぶ時、その頃は春うらら。