からだの芯

両足で立ち上がる時、身体の中心を捉える事が出来ない。
平行棒を使って歩行訓練をする時、片足に体重はのってもグラグラするので、腕の力で身体を支える。
膝で立つ時に腰を伸ばす事が出来ない。
椅子に座る時は手の支えが必要だし、机の前に座るには腰と背中をしっかりと固定し、なおかつ肘で上半身を支える。


小脳の萎縮は、身体の芯をじわじわと蝕んでいるようだ。
公費で支払われている月十四万円の薬は、症状を抑える可能性にかかるだけで、小脳の働きを元に戻す訳ではない。
けれど幸運な事に、現代の医学は難病にも光りを与え始めた。
十年後には私の小脳も再生され、身体の芯を取り戻す事が出来るのかもしれない。


時たまフッと心に浮かぶ『もう疲れたよ』と云う泣き言にはちょっと脇に退いてもらって、
薬を飲んで、機能訓練を続けて、病状の進行に抵抗しながらその日を待とう。それが一番。それしかないでしょ。