歌をうたう

暑い日が続いています。今の私は、窓の外の夏の陽射しを眺めるだけです。風に吹かれた陽の光が梢の先でキラキラ舞っている。立ち上がると我が身のみに神経が集中して、そうした周りの様子を感じる事は出来ません。ソファーに座ってぼんやり外を眺めていると、あの輝きの下を胸を張って歩けない事に、未だに納得がいかない時があるのです。
外出しなくなったので、人と話すことが減りました。ということは声を出す機会が少なくなったという事です。ならば声を出して本を読もう。本読みは昔から嫌いではない。まずは、私の学生時代、国語の教科書を一人ずつ順番に音読させられました。つかえたり、読めなかったりしたら恥ずかしいから、あらかじめ予習して読んでおく。時には好きな文章にはまって、色々工夫をしてね。次は子育ての時代。3人の子供達が幼かったとき、寝る前の行事が絵本を読む事。今でも幾つかのフレーズが心に残っているほど、お気に入りの本は何回も読みました。「この世で一番好きなのは、お料理する事、食べる事、グリグラ、グリグラ」「ああ忙しい忙しい。お洗濯ときたら・・・」その時代の、ことば遊びの本は、今でも私の教科書になっています。独り言をぶつぶつ言うのは遠慮したいが、お腹の底から声を出すのはなかなかと気持ちがいい。よし、次は歌をうたおう。と思ったものの、ずいぶんと長い間、歌をうたっていない。子供の頃は歌が好きだった。青春時代と呼ばれる時もまあまあ嫌いじゃあなかったよね。何曲かの歌謡曲も歌っていたよね。けれどいつの間にか歌う事が無くなっていた。メロデーはうろ覚えだし、途切れ途切れで曲にならない。そんな中、なんと昔々に歌っていた童謡、唱歌と呼ばれる歌は、メロデーが私の中にきちんと残っている。忘れている歌詞は検索をした。「早春賦」「月の砂漠」「みかんの花咲く丘」「浜辺の歌」「夏の思い出」等々。これからもっと沢山の歌をうたっていれば、忘れた歌を思い出すかもしれない。