気力

何故だか身体を動かす事が少々面倒くさく、ぼうっと時を過ごす日が続いた。
かってエネルギッシュであった頃の残映がしつこく残っていて、何もしない自分と付き合う事は辛い。何をするにも動き辛く時間がかかる自分を持て余してしまう。病気なのだからと許すのか、諦めるのか。どうしようも無い事をくよくよ考えたって、仕方ないのは分かっている。が与えられた現実を受け入れられない気持ちが未だに心の隅に巣食っているようだ。その未練が私を無気力の世界へ誘い込む。
けれども人前に出れば、活きの悪い様子を見せる訳にはいかないと、突っ張って明るく元気に過ごす。見栄を張るのも気力を高揚させるという効用があるようだ。
今はデイサービスの中で、リハビリをしたり、お喋りをしたり、絵を描いたりしている事が、私に生きている実感を与えてくれている。人の中に居れば、一人でいる時の落ち込みは心の隅に追いやられてしまうようだ。
もしかしたら、この低迷は曇り空の下のせいかもしれない。もっと太陽の光りが輝いて、青い空が見えたら、私の心も大きく広がってふわふわ浮いてくるだろう。
明日の天気はお日様マーク。彼岸花があちらこちらで時を謳歌しているのだろう。私の目の前にも、初めて目にした色合いの天上の花が届いた。
薄黄色に紅をのせたこの流麗な花を浮き上がらせるのは難しい。