ジュウニヒトエ



街中で見るこの紫の花は、ジュウニヒトエと云う名の野草だと思っていたのだけれど、今日ネットを調べていたら、おやまあ「アジュガ」と云う園芸種の花だった。別名が西洋ジュウニヒトエと云われても、十二単の頭に西洋などとのせるのもあじけない。
何時だったか野で見たジュウニヒトエは、他の雑草とのせめぎ合いが厳しいようで、重なった白い花に華やかさはなかった。
けれど、公園の木立の足元や空き地にひろがる紫色の絨毯には頬もゆるむ。
野生のジュウニヒトエもそれなりの味わいがあるのだろうけれど、身近にその姿を見せてくれない。学名をたどれば同じシソ科のキランソウ属。這って根を出すアジュガと、日本の本州のアジュガ。ならばこの紫のアジュガジュウニヒトエの名を借りよう。
無人の庭から黄色い八重咲きの山吹やシャガの花と一緒に届いたジュウニヒトエ。人の手を失っても春の陽の下に咲く花達。活き活きと精気に満ちた明るい庭が、私の心に忍び込んでくる。