小さな世界

私は今、狭い枠の中に生きている。これは精神衛生上良くないかなあと思いながらも、今の私にとっては必要な時間である気もする。今もし友達と会いたくて『遊びにきて』と声をかければ来てくれる人々はいる。けれど、私は何も話せない。病気のことはもとより、これからの山菜採りや、キノコ狩り、旅行の話はもうおしまいだし、絵画の友達にしろ英会話の友達にしろ、過去の思い出話だけでは話は行き詰まる。共に行動することが会話を発展させる。確かに普遍的テーマのもとの会話でだって楽しめる。がそれには、まず私の現状の事実をきちんと見つめてからでなければならない。今はまだ人に話せる状況ではない。知らせるべき友達には、もう少し状況がはっきりしたら伝えよう。趣味のグループの友からはそっと身を引いてサヨナラをしよう。そうした中で新しい友人関係が生まれるだろう。私は今の自分のことはごく自然なこととして受け止めたい。無知なる故にそう考えるのか、良く言えば達観しているのか、それとも無気力なあきらめか。今の小さな世界の中でも、私はやることが沢山あるんだ。何しろ行動ペースは以前の半分、休み休みの仕事では、事はなかなかはかどらない。それでもいつものように、生きているんだ。