症状8

時間が止まったように、このひと月間は、病状の変化があまりない。と思うのは私の心が、現実を受け入れ、こんなものだと、納得するようになったのだろうか。
まぁそれでも、相変わらずの問題点は二つある。
その一つは立ち上がり歩く事。これが私の人生を大きく狂わせている。家の中は殆ど歩行器か猫歩きで移動するが、まだなんとか、物に掴まらず、自力で立ち上がり、ヨタリヨタリと数歩の一人歩きも、時により出来る。屋外では、杖をついても一人で歩く事はきつい。少々の距離ならば、介助されながらの移動も可能だが、基本的には車椅子に頼っている。
二つ目は発音。意識的にはっきりと話をするようにしているが、舌の動きが追いつかないのか、舌が固くなるような気がする。相手に正確に言葉を伝達できないと話が止まってしまう。「それって、彼女の特技よね」「そう特許だね」っん?まっ、いいか。とは言え進行に歯止めをかけようと、ハウツウ本を片手にハーモニカの訓練中。アレグロはアンダンテになり、汽車は徐行して通り過ぎる。
物を持ったり、字を書いたり上肢の能力には異常なし。排尿排便に異常なし。眼震なし。
少し気になる事は、胃酸が逆流しているようだ。オクビが胸まで上がってきて、まれに、口腔にまで胃酸を運ぶ。胃の入り口あたりに違和感も感じる。これは持病を原因として、噴門部の筋肉を支配している自律神経に異常がでているのだろうか。それともストレスによる症状か。
左肩、右腰の鈍痛は、デイサービスで受ける整体で調整され、痛みはだいぶ緩和されている。痛みのある辺りの関節を丁寧に動かし、そこを包む筋肉を揉みほぐしてくれている。不自然な身体の動きは、骨を支えている筋肉を戸惑わせ、骨組みをも狂わせる。筋肉は炎症を起こし、悲鳴をあげる。これは小脳が痩せ衰えて発生させたものでなく、動きの悪くなった身体が生み出した症状なんだよね。だから、なだめすかして、いい子いい子して、もうちょっと頑張ってもらおう。