『光の春』の時

狭い部屋の中で一日一日が、つつがなく過ぎ去っていく。窓から差し込む光は、届けられたチューリップの花を暖かく包んでいる。
今日は雨水、雪が雨に変わる頃と云えど、朝晩の空気はまだ冷たい。けれども陽の落ちる時間は、目に見えて遅くなっている。
デイ送迎の車に週三日乗るようになり、時には一時間のドライブになる事もある。家に戻ってから、市内の地図を見ながら、走り回った道を確かめるという楽しみが増えた。
車の窓の外には、葉を落とした街路樹が春を待つ。明日から週末にかけては、光の春が私たちを包むと云う。
さぁ、私も心に春の光を取り込もう。木々が冬の眠りから目を覚ます時まで、あと僅か。