症状10

一ヶ月のスパンで考えた時には、症状の変化は気のつかない程度であるが、3ヶ月を過ぎると、やはりそこには微妙な違いが見えてくる。リハビリをする事によって、立ち上がりやすく、歩きやすくなったりしないかしらと、淡い期待もしていたのだけれど、そうそう都合よくもいかない。せめて現状を凍結しようと、リハビリに汗を流す。
立ち上がる時、通常なら意識する事も無く、体重は足底にある重心点にのる。けれど私の身体は、重心のかかる場所を求め、ゆらゆらと揺れ動き、身体中の筋肉は右往左往する。不正常なその動きに、筋肉は悲鳴を上げて、靭帯にまで助けを求める。
足の力を失わないよう、歩行器を使ったり、伝い歩き、介助されながらの歩行をしているとは言え、その量はきわめて少なく、筋肉痛を引き起こす程のものではない。けれど腰や膝には痛みがあり、凝り固まった筋肉をほぐす時には、顔をしかめてしまう。
この副次的な症状を解決しなければ、私の動きは益々悪くなるのだろう。通院している神経内科では、病気の根源的な所だけの対応で、筋肉痛に対しては、「お年のせい」と軽くいなす。少しでも生きやすくする為には、医者頼りばかりしていられない。
足が不自由な分、腕の力を利用する事が多いが、これも又肘を痛めているようだ。すると手力も入らなくなる。瓶のフタ開けも頼りにされているし、モノを持ったり、字を書いたり、細かな作業をする時にも、今のところ翳りは無いけれど、痛い筋肉は撫で揉みほぐして、我が身が長持ちする様に、おまじないでもかけようか。
お喋りをしていて、自分の発音の不明瞭さが気になって、言い直す事がある。がまだ、あまり不自由でもない。